310: おさかなくわえた名無しさん 2007/05/23(水) 20:35:01 ID:+WDSlr0b
805: :2007/05/13(日) 18:51:54 ID:8YPAtL1m0
何年か前に新聞記事になった実話
初めは多分戦後からあまり経ってない頃だと思う
彼は生まれてからずっと家族からいじめられ、
まともに食べ物も与えられず給食で何とか生きのびていたという
中学生のある日、とうとうがまんできなくなり、山に家出してしまう
とぼとぼと山道を歩いていると、後ろからワンワンという犬の鳴き声が
それは家で飼っていたシロだった
とても咬み切れそうもない綱を切って追いかけてきたのだ
なぜ家出したことがわかったのか不思議だったが
それからシロと山を転々とする生活が始まった
食べ物はシロとの共同作業でウサギ、ヘビ、ネズミほか何でも獲って食べた
獲れたものは全部シロと分けあって食べた
ある日シロがいきなり体当たりしてきた
いぶかしりながら「何すんだよ」と言ってると元もといたところに巨石が落ちてきた
シロは危険を察知して助けてくれたのだ
ある時は高熱が出て一歩も動けなくなった
シロは破れたシャツをくわえ、何度も何度も川へ行って濡らしてきては
届けてくれたおかげで、やっと熱が引き助かったこともあった
山で暮らし始めて何年か後のある日の夜、それまで一度も甘えたことが
なかったシロが急にクーンと鳴いて甘えてきた
ピッタリ寄り添って離れようとしない
つづく
311: おさかなくわえた名無しさん 2007/05/23(水) 20:38:46 ID:+WDSlr0b
806: :2007/05/13(日) 19:01:54 ID:8YPAtL1m0
次の日起きてみると、シロが息絶えていた
シロは最後を悟り、最後の最後だけ甘えてきたのだ
一人泣いた
何十年も過ぎ、関東から始まった山の中暮らしは東北南部にまで移動していた
そのころは釣り名人として、
ごく一部の渓流釣り人には知られるような存在になっていた
たまには街中にも下りていた
そしてある日、自動販売機のお金を盗んだ容疑で逮捕され、
そこで初めて何十年間も山中生活をしてたことがわかり、新聞にも掲載される
今は釣りを通じて知り合った後見者のもとに身を寄せている
しかし今もなお、何十年前に出たふるさとの事は話したがらないという
引用元: https://life8.5ch.net/test/read.cgi/kankon/1179522936/
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