【犬なごみ】私は犬。

番犬犬ほのぼの
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73 :本当にあった怖い名無し:2007/11/23(金) 22:39:27 ID:qsqLQ0VS0

私は犬。
名乗るほどの犬ではない。
そこいらにいるただのワン公だ。
小さい頃に里子に出され、今の家に貰われてきた。
他にも兄弟がいたが、もうみんな生きてはいないと思う。
奔放で縛られるのが嫌な性格の私は、飼い主さんにたくさん迷惑をかけた。
そこいらにおしっこを掛けたり、他の家の犬に吠え掛かったり。
その度に飼い主さんに怒られ、時には手を出されたりもした。
だがその後には飼い主さんは必ず優しく撫でてくれた。
私はそんな飼い主さんの手と匂いが大好きだった。
飼い主さんが泣いていた日もあった。
そんな時は、私は黙って飼い主さんの傍に寄り添った。
犬である私に出来ることはそれぐらいしかない。
飼い主さんが遠くに連れて行ってくれたこともあった。
そんな時は、私は思いっきり飼い主さんと遊んだ。
犬である私はそうやって喜びを表現した。
長い年月が経って、私はもう目も耳もだいぶ悪くなった。
なにか病気に掛かっているらしい。立つのもつらくなってきた。
また飼い主さんが泣いている。
また何か悲しいことや辛いことがあったのだろうか?
私はふらつく足で立ち上がり、飼い主さんの傍に寄り添おうとした。
飼い主さんは、立ち上がる私に、震える声で「ダメ!」と声を荒げた。
また私の行動が飼い主さんを怒らせてしまったようだ。
だがその後は、必ず飼い主さんは私を優しく撫でてくれる。
私は目を閉じた。もう目は見えていなかった。

だが飼い主さんの手と匂いは感じる。

私は幸せだった。

引用元: https://hobby11.5ch.net/test/read.cgi/occult/1195272207/

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