【犬なごみ】赤い満月の夜の事だった。

月犬ほのぼの
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223: 本当にあった怖い名無し 2010/03/04(木) 00:53:03 ID:DCxEjk240

数年前の蒸し暑い、赤い満月の夜の事だった。
外なら少しは涼しかろう、と愛犬を連れて夜中の散歩。
いつもの散歩コースの川土手で、ベリーショートカット・ジャージ・
スリム・性別不明・年齢不明な感じの美形の人と遭遇。
フェンスにもたれてタバコを吸っている。
ぱっと見(リアル中学生?)と思いながら声をかけた。
「こんばんは」「こんばんは」意外にハスキーな声。間近でみると結構年配な女性。
「可愛いワンコですね。わたしも良く似た子を飼ってたんですよ」
全然知らないその人と犬話。

「どうぞ」と近くの自販機から冷えたコーヒーをゴチになった。
そして愛犬には「これなら大丈夫よね」となぜかポケットからビーフジャーキー。
ヤクザの情夫でそいつの不始末のおとし前で、

他所に売られかけて逃げだしたけど、ダイヤやスーツは捨てても
愛犬モモちゃんは手放さずに一緒に連れて出て、つい最近老衰で死んだとこ、

とか相当凄まじい人生話聞かされた。
自分のんびりした田舎住まいで、世の中にはなんて怖い事があるんだろう、と傾聴。
じゃあね、と別れてすぐにまた、知らないおばあさんに声をかけられた。
「まあまあ、この子、こないだまで私の飼ってた子にそっくりだよ。

 ちょっとうちまで来て頂戴」
と、高台のお邸まで連れてかれ、

ほんとにうちのにそっくりなワンコの黒枠リボン付き写真を見せられ、
「おやつ上げてもいいかしら?」と与えた事のない高級缶詰牛肉。

愛犬少し不思議そうにしてから、挙動不審ヨダレタラタラ。
ヨシ!の号令に猛然かぶりつき。うう、恥ずかしい。

おばあさんは自分には大きなシュークリームを御馳走してくれた。
その家を辞して散歩を続けていたら今度は、やっぱり知らない奥様風の人が
「まあ、うちの子にそっく(ry)」
今度は生まれつき心臓が悪かったという

故愛犬ちゃんの話をさめざめと語る上品な奥様のうちで紅茶とケーキ。
蒸し暑い夜の散歩で出会った、トリプル不思議な方々だった。
田舎でも、普通そう簡単に知らない人を家にあげたりはしないところなのに。

そのひと夜限りで、その人たちにはあれから一度も出会っていない。
蒸し暑い夜の、赤い満月が人の心を惑わしたのかもしれない。
愛犬も飼い主の自分もお腹一杯な夜だった。

引用元: https://anchorage.5ch.net/test/read.cgi/occult/1265227175/

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