【外国人いい話】Bergenは一昨日,昨日と大変良い天気でした。

ノルウェーベルゲン外国人のいい話
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468 :異邦人さん:2006/05/10(水) 06:06:05 ID:Am7tgHis

Bergenは一昨日,昨日と大変良い天気でした。
Bergen=雨のプライドを忘れてしまったかのように、
雲一つなく晴れている時さえありました。

僕のいる学校の寮は小高い山の中にありますが、
5分も下れば海を見ることが出来ます。
昨日はあまりに良い天気だったので、
昼間に既に2回散歩に出かけたにも関わらず、
午後6時頃もう一度一番近くの海辺に出かけました。

そこは小さな海辺ですが対岸には街並みやまだ薄っすらと雪の残った山など,
海にはボートが見られ、空ではカモメが鳴いていました。
この季節に天気が良いと、眺めは格別です。

海辺には2組の先客がいました。
若い女性2人組は波打ち際の岩の上で日光浴を楽しみ、
1組の家族連れは波打ち際からちょっと離れた草むらにおり、
子供は静かに遊び、大人は座ってくつろいでました。

469 :異邦人さん:2006/05/10(水) 06:06:59 ID:Am7tgHis

僕は邪魔をしないように、どちらからもちょっと離れた岩に座り、
海からの優しい風に当たっていました。
「あと2週間でこの光景ともお別れか」と柄にも無く、
ちょっとセンチな気分に浸っていました。

10分も過ぎたでしょうか、
ふと気が付くと一人の小さな男の子が近くを歩っていました。
あの家族の男の子でしょう。
何か手のひらに乗せているのか、小さく前へならえの格好で、
ゼンマイ仕掛けのおもちゃのようにトコトコと歩いています。

「かわいいなぁ」と思って見ていたのですが、
どうやらその男の子は僕の方に歩いて来ているようなのです。
とうとうその子は僕のすぐ横にまでやってきました。
その子の小さな両手の上には紙の皿と、その上にワッフルが乗っていました。

470 :異邦人さん:2006/05/10(水) 06:07:34 ID:Am7tgHis

すぐに家族連れの方に目を向けると、
大人達が優しく笑いながら手を振りました。
その子は僕にワッフルを渡すと大人達の方に向かって、
タタタタとかけ戻って行きました。

僕はワッフルを食べました。ゆっくり食べました。
半分まで食べたところで、残りを口の中に押し込み急いで食べ、
寮までの坂を駆け登り始めました。

5分とはいえ坂道を駆け登り続けたため、
寮の自分の部屋に着いた時には、息がまともに出来ませんでした。
でも急いでボールペンとメモ帳を手にし、またすぐに部屋を出ました。

あの家族連れがすぐにいなくなる事は無いと思いましたが、
万が一ということがあります。
また走って戻りました。
坂の途中まで来たところ、家族連れの姿が見えず焦りました。
でも坂の途中が多少盛り上がり気味のため隠れて見えにくかっただけで、
もう少し進めと彼らはまだそこで海辺を楽しんでました。

471 :異邦人さん:2006/05/10(水) 06:08:21 ID:Am7tgHis

僕は歩いて彼らの元に近づいて行きました。
彼らは僕に気づき、また手を振ってくれました。
僕は始めにノルウェー語が話せないことを謝り、
その上で僕はこの坂の上にあるフォルケホイスコーレにいると説明しました。
すると、

「知ってる。Elias が君を見たって言うんだ。」

Elias とは僕にワッフルを届けてくれた男の子の名前でした。
もう少し詳しく聞くと、Elias君(4才)が Barnehagen(幼稚園,保育園)にいる時、
僕を見たというのです。

僕の寮は3階建てですが、上2階を寮として使い、
下の1階はフォルケとは別の Barnehagenとなっています。
Elias君は昼間そこに通っているとのことですが、
その時僕を見たらしいのです。

僕はありがとうの意味を込めて、
Elias君の頬と鼻の頭を人差し指でツンツンと叩くと、
恥ずかしそうに笑ってくれました。
僕は日本から来たと言うと、彼らはこの近くに住んでいると教えてくれました。
その後他の子供達3人の名前と年齢、
また大人の方全員の名前も教えてもらいました。

472 :異邦人さん:2006/05/10(水) 06:37:39 ID:Am7tgHis

またもうすぐ日本に帰らなければならないので、
帰ったら日本からポストカードを送りたいから住所を教えてくれといい、
メモ帳とペンを渡すと、快く教えてくれました。
その後ちょっとお話をさせてもらいましたが、
あまりご家族の邪魔はしたくないので、すぐに別れを告げ、海辺を後にしました。

今日の昼間、最近デジカメで撮った写真を整理していると、
Barnehagenの子供達の写真があるのに気付きました。
「あ、そうだ。数日前寮の横にいた子供達が可愛いから、
 つい数枚写真を撮ったんだっけ」

その中の一枚に笑っている Elias君が小さく写ってました。
この時の事を覚えてくれていたのでしょう。

Elias君が運んでくれたワッフルの乗っていた
ディ〇ニーの紙皿は大事に取ってあります。
今の僕に出来ることは日本に帰ったら約束どおりポストカードを出すことだけです。

2006年5月9日、今日も Bergenは大変良い天気でした。

小さな海辺の、小さな小さな出来事でした。

引用元: https://love6.5ch.net/test/read.cgi/oversea/1033250805/

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